2008年11月16日

Taylor Swift、恐いもんなしのチャート寡占

Taylor Swift.jpg

11/11全米発売のTaylor Swiftの2nd『Fearless』から、
全13曲中12曲がiTunes StoreチャートのTop100にランクイン中。

これまで彼女、モノホンのリードシングル「Love Story」含め5曲を矢継ぎ早に
先行デジタルリリースしてきてそれがビルボードでも
毎週のように10位前後(4曲綺麗に9〜12位)に初登場して来るという
少し前にJonas Brothersが先鞭をつけた手法を踏襲(ふしゅうじゃないよ)してたのですが、
アルバム本体が出てみたらそれ以外のアルバム曲も結局全部売れてる。
まあ全部が全部Hot 100に入ることはないでしょうけども、
なんだか倖田來未の12週連続シングル→ベストと大差ない展開になってきました。


初めはなんだそりゃ、と思って笑ったんですが、
これって要するに今まで先行で出てた曲を逐一買ってきた方々が
先行じゃない曲も全部単曲買いしてアルバム1枚分揃えたってことだよね。
『High School Musical』のサントラじゃないんだから、
ノンプロモーションのアルバム曲が100位に入るくらい売れる理由はそれしか考えられない。
そしてこの買い方だとアルバム丸々ダウンロードするよりも落とす金が多くなるし、
全曲単曲買いのつもりで先行発売曲を揃えて来てたけど
やっぱりAlbum Onlyのブックレットとかボートラとかが欲しいよ、
ってことで結局アルバム1枚まるごとダウンロード(先行曲重複購入)
してくれたならさらに利益増加。
現代の錬金術です。これ考えた奴頭いい。

ちなみにiTMSでのアルバムまるごとの売値は$11.99。
13曲バラで買った人は$0.99×13=$12.87。
確か州によって税金が違って値段変わるとか聞いたけど。
一方パッケージの方は定価自体は$18.99らしいんだけど
新作だろうがなんだろうが値引きが当たり前の世の中になってしまった結果
amazon.com価格で$9.99。たぶんウォルマートとかでもこんな感じのはず。
パッケージよりダウンロードの方が高くつくってなにそれ。
アップルのピンはね分を差し引いても、製造と流通コストのかかるパッケージより
ダウンロード販売の方が利益率はいいでしょうからウハウハじゃん。


これ、海の向こうでは会社の戦略としてもうダウンロード>パッケージ
みたいな話になってきてるということなんじゃないでしょうか。
少なくとも「ダウンロード販売をフィジカル(パッケージ)セールスの
販促材料にする」という、日本の着うたプロモーション的な考え方ではもうなくなってる。
となると自分でこっちに舵切ってるレコ会社はともかく、
小売業界には嫌な意味で大きな波が来ますよ。
日本では相変わらず「ダウンロード販売はパッケージ分の利益を目減りさせる」
という考えのもとにどこも話が動いてる感じですが、
さて今後音楽関係の各業界、どういう方向に持っていくつもりなのか。


ついでに効果がどれだけあるか知らないけど、毎週のようにチャート上位に
ぼこぼこ名前を出しておくことでのプロモーション効果も見込めなくはない。
ただこれのせいでビルボードの上位は一気にグダグダしてきたので、
ビルボ側はどうにか手段を講じないとまたユーザーがR&Rに逃げると思う。
今度は昔とは逆に、「エアプレイのない曲のセールスだけの
チャートインは認めない」みたいなことをやるか?


posted by Skedge at 00:00| Comment(6) | 音楽ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さすがskgさん、分析力が凄いっすね!
何を隠そう、僕もビルボードに対してあまり興味を持てなくなった一人です。

Top40に入ってくるだけの価値が
非常に曖昧というか何というか。
シングルじゃなくて、
単なるアルバム収録曲がこんなにドカドカ入って来られてもねぇ…。
とてもじゃないけど、
ビルボードの解説(的な)記事なんて書いていられませんよ。
Posted by kino at 2008年11月16日 14:10
ああ、この件ちゃんと記事にしてくれてうれしいです。みんながこれやりだすとHOT100かなり荒れますよ。

もう新曲ぼこぼこ入ってくるし。。
そろそろほんとにチャート集計方法に改定があるかもしれませんね。少なくともセールスの比重を極端に下げてくるとか?
Posted by はまべ at 2008年11月17日 00:00
テイラー人気スゴいんですねぇ

相対的には去年のALICIA KEYSくらい売れるかな
Posted by チャオ(けいと) at 2008年11月17日 10:37
はじめまして。
すごい解析していてビックリしました!
アルバムからのプロモシングル自体を廃止するか、排除するかしないと、何がホントに人気のあるシングルなのかわからなくなりますよね。
Posted by Ara at 2008年11月17日 23:23
ダウンロードってたぶん一時的なもので、行き着く先はオンデマンドという気がします。そうすると同一ユーザーの利用回数なんかもパラメーターに使えるんで、興味本位に一回聴くだけなんてものは排除が可能ですね。

ただ、チャートは正確かどうかが問題ではなく、そこからどう(業界が)アクションをとれるかが重要なはず。別に上位がテイラーたん+ジョナブラ+アメアイだけになってもそれはそれで良いのでは?と思っちゃいます。そこから市場を読み取ることが重要なわけで。

ということでこんなことでビルボードの批判してもしょうがないでしょ。
Posted by けい at 2008年11月17日 23:42
こんなにどかっとコメント頂いたのは初めてかも…。
皆さん多かれ少なかれ気になっていたようで。

先に書いてしまうとこんなの分析でも何でもなく、思ったことをその場で書きとめただけで、突っ込みどころ満載なのは自分でも分かってるんです。が、脳内でひとり突っ込みをしてもそれ以上考察がちっとも深まらないので、どなたかから突っ込んで頂けるのを期待してとりあえず書いてみたという。まあこの記事に限らずまウチのブログは基本的に「突っ込み待ち」というスタンスなので、気づいたことあったらどんどんコメント欲しいです。よろしくです。

一応「自分でも分かってる突っ込みどころ」を晒しておくと

・「先行じゃない曲も全部単曲買いしてアルバム1枚分揃えた」って前提は本当か?
(似たことはArctic Monkeysの2ndが出たときUKチャートで起きている=単にTaylorの人気が凄ければ先行DLキャンペーンなしでも同じことが起きていた可能性はある)
・(上と関連して)Jonas Brothersのときはどれくらいチャート入りしてきたか記憶が定かじゃない。
・「製造と流通コストのかかるパッケージより
ダウンロード販売の方が利益率はいい」というのも実際にはどうだか知らん。
・(蛇足だけど)amazon.comのDL販売価格は$8.99だった。



>kinoさん

というわけで、分析と呼べるものじゃないのです(^ ^;
ただ僕は別に今回の件を以ってビルボードを見限り始めているってわけではないんですよ。ただイチ音楽ファンとして、曲探しの便利ツールとしてチャートを重宝してた身としては、少数のアーティストがポジションを独占してしまうと本来チャート下位に入るべきだった曲が押し出されてしまうのでそれは困る、ということですね。あとこんなに矢継ぎ早にリリースされると逆に興味が失せるってのは何もJ-Popに限らないんだなというのは身をもって分かりました(笑)


>はまべさん

でも個人的にはDLセールスの影響をあまり小さくするのも反対なんですよ。こないだのRadioheadみたいな思わぬ事故(笑)を基本的に歓迎してますし、DLも専門チャンネルのエアプレイもちゃんと反映しているという点を買った上で僕はBillboard派・Hot100派なので。エアプレイチャートだけ見てたらこういう動向には気がつかないわけで、それもまた僕としては困るのです。


>チャオさん@改名

たぶんどっか見れば初日の売り上げとか書いてあるんでしょうが、僕としては初動70-80万枚くらいかな、と読んでます。ただこういう売り方、手駒を早いうちに出しきってると言えなくもないので前回みたいにロングヒットに持ち込めるのかどうか。あるいは持ち込む気もないのかな?その点でも非常に注目してます。


>Araさん

はじめまして。コメントありがとうございます。
何が人気のあるシングルか、というのはそもそもこんなことになる前からすごく判断が難しかったと思います。エアプレイチャートにしても、リクエストという建前はあるにせよラジオ局が自分の裁量で(あるいは金を握らされて?)流してる曲がどこまでリスナーのニーズにあってるのかというのは疑問が残るところですし。今時ラジオ局にリクエストなんてどのくらいの人がやってんだろ。だから僕はビルボ>R&Rなんですが。


>けいさん

誤解を招くような記事の書き方になっていたかもしれませんが、今回の記事で僕はビルボードの批判をしたつもりは全然ないんです。むしろ一番言いたかったことは最後の方の「日本の業界はどうするの?」という部分で。アメリカではこういうことが起こってるよ(←今回の推測が正しいという前提で)、日本は?ていうかこの件把握してないとか言わないよね?みたいな嫌味ですね。まあホントに戦略としてやってるなら米国側と情報共有してるかもしれないし、してたところでカラオケだの着うただのタイアップだのとUSとは事情の違う要素も多いのでただ単に追従しても意味ないでしょうけど。そんなわけで、後半に書いて頂いた部分はほぼ賛成です(リスナーとしてはつまらないけど、チャートファンとしてはそこからいろいろ読みとるのもまた楽しみのひとつ)。そもそもビルボードって業界向けに情報を発信するってスタンスですからそういう意味では何も間違ってませんよね。オリコンもそういう感じになってきてますが。

で、前半の「オンデマンド」なんですけど、ええとこれってストリーミング配信みたいなことでしょうか?タワレコとNapsterがやってるような。だとしたらどうでしょうねぇ、ダウンロード販売って、10年後20年後の買い替え需要がCDやレコード以上に大きそうですし、そこら辺を見込んでわざと普及させようとしてたりして?ってこともチラっと考えたことがあるので、それだとメーカー側があんま乗り気にならない気がします。

でも同一ユーザーの利用回数云々は、確実に目を付けてますよね。Last FMやmixiミュージックみたいなのは(本当に公平な集計が為されているという前提なら)「人気のある曲」の指標としてこの上ないですし、こないだiTunesに実装されたGenius機能も目的はそういうデータの収集なのは明らかですもんね。あれ、なんかそこまでAppleに情報を吸い取られるのが怖くて僕は当面オフにしてあるんですが…
Posted by Skedge at 2008年11月18日 09:29
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。