2010年02月04日

Albums Of 2009: #9-6

10位の記事で「小出しにします」と言ったものの
小出しにしてたら今の更新ペースから言って
1位載せるのが夏とかになりかねないのでやっぱり小出しはやめます。
でもこの次の5位にあたる記事が全く書けてないので9位から6位まで。


Evacuate the dancefloor
#9 Cascada "Evacuate The Dancefloor" (Zooland)


アルバム単位で評価するような作品じゃないことは分かってるけども、やはり世紀の名曲「Evacuate The Dancefloor」を収録した同タイトル作、というだけで年間10枚のうちの1枚くらいには選ばざるを得ない。2ndでもRascal Frattsがカヴァーヒットさせた「What Hurts The Most」を1stシングルに選ぶくらい「私たちもっとポップチャートで売れたいです!」な野心が思いのほか強いことは分かってましたが、ここまであからさまにメインストリームにアプローチして再ヒットを出すとは。こんな事例、少なくとも90年代以降のユーロダンス史では初めてのはず(それもUK/EUだけならまだしもUSでも売れた。80年代以前の事例を探すならDonna Summerが該当するのかも?)。

アルバム全体も本来の芸風だったジャーマントランス路線から逸脱した曲が過半数を占めており従来のファン離れも起きたことでしょうが、1st収録の「Bad Boy」あたりに顕著だったように彼らはメロディラインの強度がこのテのユニットとしては極めて高く、ジャーマントランス全般を毛嫌いしてきた自分としてはアレンジが変わったことで楽曲そのものの良さを素直に受け止めやすくなったことも評価のポイント。「Why You Had To Leave」がもしcapsuleの曲だったらニコ動とかで絶賛されてるでしょ。


[GC Top20 Entries]

#1 Evacuate The Dancefloor
#12 Why You Had To Leave
#11 Fever
#18 Dangerous



Ultraviolet
#8 Kid Sister "Ultraviolet" (Downtown/Fool's Gold/Universal Republic)


「今までの女ラッパーももちろんリスペクトしてはいるけど、ちょっと攻撃的すぎて引いちゃったりもするのよね」などという発言含め、2009年一気に盛り上がったヒップスター型ラッパーの女性版としての面白さもあるんでしょうけど、僕としてはとりあえず、ヒップホップの本場アメリカの人がヨーロッパのクラブ系人脈使ったトラックの上で当たり前にラップしてる、というだけでなんかOK。「Pro Nails」のリリースから時間が経ち過ぎてお蔵入りの臭いがプンプンしてたのでそもそも出ること自体にあまり期待してなかったんですが、蓋を開けてみたら想像の斜め上を行く面々がブックレットに名を連ねておりました、という事実だけで盛り上がって8位。

A-Trak総指揮になるかと思っていたのでこれだけ外部の人間が大挙して関わってきたのにも驚きましたが、またそっち方面から連れてきたのがSteve Angello & Sebastian Ingrosso、Herve & Sinden、Rusko、Yuksekなど手加減一切なし、それでいてそれぞれ微妙に畑違いという絶妙な采配。1曲1曲取り出して聞くと実はそんなに面白くなかったりもするんですが、イントロを挟まずにパンチの効いたトラックが次々繰り出されて40分少々で終了、というミックステープ的な作りのおかげでアルバム全体では個々の曲から感じられる以上の勢いがあって気持ちよく聴き通せました。

tippeeさんがレビューで書いてたように曲数の面で少々食い足りない部分は確かにあるので(しかもマイスペとかで公開済みの曲も多かったようで)、ボートラ扱いで「Beeper」(The Count & Sinden feat. Kid Sister名義)やリミックスをいくつか拾うくらいのサービスがあってもよかったな。ちなみに全くの余談ですが、「Pro Nails」のUK盤シングル収録の"Album Version"は冒頭で蟹江のべしゃりが入るのですが、実際のこのアルバム収録に際してはカットされています(笑)


[GC Top20 Entry]

#8 Big N Bad



Past Future Rated R
#6 安室奈美恵 "Past<Future" (Avex Trax)
#7 Rihanna "Rated R" (Def Jam)


なんとなくこの2枚は並べて置きたいのです。こういうと本当のファンから怒られそうですが、この二人は二人とも、本人自身のパフォーマンス能力(ダンスや歌唱力)だけを言うなら決して他を圧倒するような才能の持ち主ではなく。しかし徹底したイメージコントロールと楽曲の質、本人の志の高さetc.で以って、実力では自らの上をゆく相手も含めたそこらのアイドル/ポップ歌手とは格の違う高みにいる、という点が共通すると思ってまして。しかもそれぞれの前作、これは当時も過去ログのどっかで書いたはずですが、『Play』と『Good Girl Gone Bad』が共に、リリース時点までのアーバンミュージックの流行をとことんおいしいとこどりしたような内容だった、という点でも較べてしまうのです。

その二人が、ほぼ同じ2年半という空白期間を挟んでほぼ同じ時期に次なるオリジナルアルバムを発表。これもまたそれぞれに、これまでのエレクトロ〜ダンスミュージック路線を突き進むという選択から離れて「次の一手」を打ち出した内容。今回もNao'ymtとT.Kura & Michicoのツートップ体制か思いきや若手や着うた大魔王(Jeff Miyaharaのことです)までも含めた日本アーバン界総動員的な布陣を揃えてきた安室、Ne-YoやThe-Dreamといったこれまでの貢献者を続投させつつもChase & Statusを核に据えるというサプライズ抜擢でアルバム全体のトーンを劇的に刷新したRihanna、と人選の新しさでも重なる部分があります。

ひとつ面白いのは、RihannaがChase & Status経由でアンダーグラウンドのヘヴィーな音に新しさを求めた一方、安室はAmy Winehouse以降のレトロスタイルやダンスホールっぽいリズムなど、エレクトロ以前の流行だった音を参照元にしてそこから新しいものを生み出そうとしている、という、メインストリーム・エレクトロとの距離の置き方に差が出たことでしょうか。どっちもカッコいいことこの上ないのですが、しかしそのカッコよさは音そのものというよりは本人たちのアティテュード・立ち振る舞いに因るところが大きく、どうしても「流行ど真ん中!」な華やかさのあった前作ほどは気持ちが乗れてないというのが正直なところではあります。というわけでポップミュージックらしいキャッチーさと時代謳歌してます感を買って安室が上(しかしジャケ写パクリ騒動はいただけない)。今後この2枚がどうシーンを規定するのかしないのかは10年代最初の見ものですね。


[GC Top20 Entries]

#3 Wild
#16 Dr.
#9 Fast Car
#20 Love Game

#3 Hard (feat. Jeezy)
posted by Skedge at 00:00| Comment(4) | 年間ベスト選考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Kid Sisのレビューにリンク貼ってくれたのは嬉しいんですが、レビューの下の、本人でさえ書いたことを忘れていた書き捨てK-POPウォッチングメモまで再び晒されることになるとは、思わぬ落とし穴でした。

"Pro Nails"冒頭のカニエのしゃべりはMixtapeの時点から入ってて、「邪魔だなこれ」とずっと思ってました。アルバム買ったので、ようやくスッキリ聴ける。

Cascadaは未だに私の中でのベストは"Bad Boy"なんだけど、このアルバムは買いなのかなぁ。
Posted by tippee at 2010年02月03日 10:01
>tippeeさん

あのレビューを踏まえて書いてる部分がかなりある文章だったので、サンプリングネタを白状するような感じでリンク張らせていただきましたが、その下に書いてあることは概ね私には何の事だかさっぱり分からなかったので気にせず晒してしまいました…!余談ですがAKB48の新曲は本気で凄いと思います。あれは1位獲ってほしい。買わないけど。

「Bad Boy」が好きならば「Why You Had To Leave」は間違いなくイケるはずですが大方の予想を裏切ってまだシングルカットされておりません。特にヒットもしてないアルバム曲1曲のために買え、と言えるような作品では決してないので(笑)、中古待ちとかでよいと思います。おそらくこのジャンルでこれ以上のものはそうそうないと思うんですけどね。
Posted by Skedge at 2010年02月03日 18:07
安室とRihannaのコメントは凄く面白く見させてもらいました。
この2人を比較することは自分の中にはなかったのですが、読んでみるとなるほどと思わされる部分が多かったです。
個人的には最新作の出来でいえば安室の方が上かなあと思いますが、アーティスト自身のコントロールは二人とも完璧ですね。
Posted by musiqmusiq at 2010年02月11日 17:30
>musiqmusiqさん

このテの比較と買って僕の場合大体誰かの受け売りなんですが、安室とRihannaはなぜか自然にダブって見えるようになったんですよね。しかしRihannaにはともかく、安室にはもっとバカ売れしてほしかったです。『Play』よりは売れてるとは言え、ここまでやっても『Best Fiction』の半分以下というのはねぇ。
Posted by Skedge at 2010年02月15日 23:23
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