2011年01月10日

Albums Of 2010 GC Choice #3

My Beautiful Dark Twisted Fantasy.jpg
#3 Kanye West "My Beautiful Dark Twisted Fantasy" (Roc-A-Fella / Island Def Jam)



Kanye Westのラッパーとしての5thアルバム。
なわけですが、これは「制作・総指揮 Kanye West」もしくは「Kanye West presents My Beautiful Dark Twisted Fantasy Project」ですね。

フィーチャリングクレジットのないままコーラスとかで参加しているメンツが異常に多いのですが(Nicki MinajやBon Iverなど、曲によってクレジットされたりされてなかったりする人もいて意味不明)、それ以外にも楽器担当(日本人女性ヴァイオリニストも参加)だのミキサーだのサンプリング元だのとクレジット表記が大変なことになっていて、ハリウッド超大作のエンドクレジットじゃないかというくらい膨大な量の文字が溢れるinlay(ブックレットの代わりに入ってるポスター型のやつ)は一見の価値あり。


当初はもっとコムズカシイ作品なんじゃないかと思っていまいち買う気がせず、「1st・2ndと3rd・4thのちょうど間っぽい」「長い曲ばっかだけど聴きやすい」といった周囲の評判を聞いても、あれとあれの中間とか、この暗さで聴きやすいとかそんなことが起きうるのか?と思ってたんですが実際聴いてみて納得した。掛けた手間と人手の分、華やかかつ圧倒的なスケール感です。だからこれが「ラッパー、Kanye Westの5th」と言われてもピンときません。作り上げた世界観がデカすぎて蟹江のライムとか正直もうどうでもよくなっている。

元々ラッパーとしての力量が取りざたされてきたわけでもないし、そもそもこの人はどこまで行ってもプロデューサーなわけで。これだけのアイデアとメンバーをハンドルして一つの作品に落とし込んだ手腕こそが評価の対象なのであり、デラックス盤に同梱されたショートフィルム(やべ、まだ見てなかった…)に象徴されるように「すごく映画っぽい」アルバム。今回の蟹江はアクターであると同時というかそれ以上にディレクターです。

そう言う観点で行けばこれがヒップホップであるかどうかももはや論点として重要ではないんでしょう。ロック系メディアは時々自分の視点の広さを誇るためなのかテクノやヒップホップやワールドミュージックを持ち上げたりしますけど、これに関してはもはやヒップホップなのかどうかもよく分からない、という前提の上での、変な下心なしの『Spin』『Rolling Stones』両紙の年間1位、インディー系批評サイトPitchfolkでの100点満点etc.といった評価なのではないかと(本来ロックとして評価すべきカテゴリーが昨年はよほど不作だったという事情もあるみたいですが)。


ただ僕個人としてはそこまで考えた上での選出ではなくて。正直よく分かんないんですよコレ。なんかすごそうだとは思ってるんですが、聴き手である僕のキャパを超えちゃってるのでもう数年寝かさないとこれが本当にすごいのかどうか、すごいならどれくらいすごいのかをきちんと理解できない気がします。大体買ってからひと月も経ってねえし。とりあえず今年のベスト選考でこれを漏らすわけにもいかないと思ったので、既に確定してた上位2枚の下にとりあえず置いてみた。『bounce』紙のトップ選出の出嶌先生の言い訳――「何かまだよく分かんないけど1位っぽい風格があるんで1位で」――が自分の気持ちを一番よく代弁してくれている気がするよ。
posted by Skedge at 00:00| Comment(0) | 年間ベスト選考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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