2011年01月18日

Albums Of 2010 GC Choice #1

Up On The Ridge
#1 Dierks Bentley "Up On The Ridge" (Capitol Nashville)



2003年のセルフタイトルのメジャーデビュー作でいきなりプラチナ・セールスを記録する上々のデビューを果たし、2009年発表の前作『Feel That Fire』からも2曲のカントリーNo.1ヒットを放つなど、そのルックスもあり安定した人気の中堅イケメンカントリー歌手というイメージのあったDierks Bentley。ただ2000年代の特に中盤ごろは「イケメンカントリー」の人って結構いて、その頃本格ブレイクを果たしたKeith Urban(Nicole Kidmanの旦那ね)は今でも第一線、もうちょい音楽的な評価もついてきてそうなBrad Paisleyや、いい加減年喰ってるがKenny Chesneyなんかもこの括りで捉えられなくもないし、今ではすっかり失速したけどディケイド中盤えらく人気のあったRascal Flattsなんかも含めて「ルックス人気を兼ね備えたカントリー男Vo.」ってDierks以外にもいくらでもいる(いた)ので、この人に特段目立った印象はなかった。カタカナ的にやたらカッコいい名前以外。(すごく表記しにくいがたぶん”ダークス・ベントレー”でいいと思う)



dierks bentley

この新作はアルバム初登場9位、同名の先行シングルはカントリーでも21位(ちなみにHot 100では99位)とチャート的にはパッとせず。何だろうなとは思いつつも元々興味もなかったので特に気にしてなかったんだけど、このチャートアクションもさもありなん、今回はブルーグラス的なフル・アコースティック・セットで挑むという商業的にはかなりチャレンジングな作品だったのです。普通の洋楽ファンに聞かせたらいつもの彼よりこっちの方がよっぽど「カントリーっぽく」聞こえると思うんだけど、殆ど「アメリカン・ロック」とか言って差し支えない感じの曲がメインストリームを占める現代のカントリー界にあってこれは結構な冒険。Alison Krauss、Chris Thileらブルーグラス界で活躍するアーティスト/ソングライターやKris Kristofferson、Del McCouryというカントリー&ウェスタンの巨匠など多くのゲストを招いての、Dierksなりのルーツ回帰作になっています。

これ一歩間違えばただの懐古趣味にしかならないと思うのですが、タイトルトラックであり冒頭を飾るどこか神秘的で重厚な「Up On The Ridge」の、決して古臭いだけの音作りに陥らないモダンな質感の仕上がりは素晴らしい。ジャンル問わずこういう夜っぽい曲は大好きで、再生回数で集計という都合上年間トラックベストの記事に名前が上がっていませんでしたがこれがBreakbotの「Baby I'm Yours」と並ぶ今年の自分内2大名曲。昨年軒並み高評価を得てカントリー界的にはTaylor Swift以上のシンデレラガールぶりだったMiranda Lambertと、各媒体でアルバムが上位に選出されて「この人は誰!?」状態だったJamey Johnsonを同時にフィーチュアした「Bad Angel」、元Nickel CreekのChris Thileが現在率いるThe Bunch Brothersとの早弾き大会「Rovin' Gambler」、同じくThe Bunch Brothersとともに挑んだDylanのカヴァー「Señor (Tales Of Yankee Power)」と聴きどころも多く飽きさせません。


去年は先述のJamey JohnsonやMomford & Sonsなんかがそうでしたが、このテのオルタナ・カントリー〜フォーク〜アメリカーナ系統の音はロック系メディアやインディー系リスナーからの人気も高く、年間ベストでも上位の常連。なのでひょっとしてこれも名前が上がるかと思っていましたが特に見かけませんでした(どっかに入ってました?)。ただセールスが落ちた一方、昨年のCountry Music Association Awardでは3部門にノミネート、今年のグラミーのBest Country Albumにも名前が上がるなどカントリー・フィールド内部での評判は良いようで、メインストリームに背を向けた作風の作品としては十分な成功を収めたと言えそうです。



================


Albums Of 2010 GC Choice

#1 Dierks Bentley "Up On The Ridge"
#2 Kylie Minogue "Aphrodite"
#3 Kanye West "My Beautiful Dark Twisted Fantasy"
#4 Chromeo "Business Casual"
#5 Drake "Thank Me Later"
#6 Lissie "Catching A Tiger"
#7 Deadmau5 "4x4=12
#8 Rihanna "Loud"
#9 Selena Gomez & The Scene "A Year Without Rain"
#10 Raheem DeVaughn "The Love & War MasterPeace"



年の近い世代の音楽好きからもちらほら聞こえてくるんだけど、こうしてブログに記事を書くまでに音楽どっぷりになった時期だけでももう6年(そんなにやってるのか!とちょっと自分で数えてびっくり)となると、10代の頃みたいに「限られたお小遣いでやっと買った1枚をブックレットを舐めるように眺めながら聞き倒す」みたいなことは全くと言っていいほどなくなっているし、なまじ知識がついてきた分「こんな音楽があったのか!カッケー!」的な新鮮さを感じることもめっきり減り。ああこうやって好みが凝り固まっていくんだなあ、年取るってヤだなあとか思ったりもするのですが、そういう状況になってくると、自分普段が意識してないカテゴリーから予想外の作品がドン!と飛び込んでくることがあるんですね。

購入した夏ぐらいの時点で「今年のベスト候補」と言及していたDierks Bentley、そのまま大差で逃げ切りでした。僕がカントリーを主食にしていないからこその新鮮な驚きであり、これが1位というのは作品としてどれだけ優れているかということはほとんど関係なくて(というか音を聞いただけじゃ自分では分からん、比較対象が無いから)、自分の音楽人生史(と書くとえらいご大層だな)のなかでいかに特異な存在か、というだけのこと。今後こっち方面を聴き進めていったら却って魅力が褪せてしまうのかもしれませんが、それでもこういった未知の音がまだまだ広がってる限りやっぱ音探しはやめられないよねえ。



ちなみに既にecrn awardsには上記の結果(とあとベストリミックストラックとか)を投稿済みなんだけど、
なんかアルバムに一言コメントをつけようとしてみたらブレイクアウトより酷い感じになってしまって反省している。
セレーナなんか「ダサブサい」の一言で済ませている。(ベスト投票…?)
meantimeにはこれから入れます。
こっちはTop40の括りがあるのと、今になって聴いてる曲が去年末に既にチャートインしちゃってて
投票対象に含まれてたりとかしてまたちょっと変わるんだよね。
posted by Skedge at 00:00| Comment(4) | 年間ベスト選考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Dierks Bentley1位ですか!
トップ40デビューしたての頃、激かっこいいシングルが1曲ありましたが。

そのまま大差で逃げ切りとか言われると
ちょっとかなり気になりますね。
Posted by Badboy Slim at 2011年01月18日 22:21
>Badboy Slimさん

僕もいきなりこんなのにハマったわけではなく、Nickel CreekとかNeko Caseとかここ数年こういうのを受け入れる下地になった作品があったからこそ、なんですが。名前だけは馴染みがあったのでそういうところがとっかかりになりやすかったのもよかったですかね。

年喰ったらだんだんこういう方向に好みが変化していそうな気がします。
Posted by Skedge at 2011年01月19日 00:29
いやあかなり意外でした。
なんて書くとブログちゃんと読んでなかったとバレバレですが…

話し変わりますが、江戸時代のアノ人たちはAKR47ということになりますね(→実はこちらが書きたかった)
Posted by se2 at 2011年01月19日 16:05
>se2さん

自分でもこの人を年間ベストに選ぶことになるとは意外でした。というか、次回またいつもの路線に戻ったら買わないと思います(笑)

>AKR47
一瞬何の事かと思いました。忠臣蔵だの新撰組だのってどうにも疎くて…。
Posted by Skedge at 2011年01月24日 01:22
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。