2011年12月16日

David Guettaの映画が意外と凄くよかった件


ゲッタゲタにしてやんよ(これ誰が言ってたんだっけ…)



昨日東京・名古屋・大阪の3都市同時に招待イベントという形で上映された
David Guettaのドキュメンタリー映画『Nothing But The Beat The Movie』を観てきました。
(このイベント自体の主旨がよく分からなかったが。販…促…?)
twitterで観たいなーとか言ったら巡り巡ってチケット余らせてた
びんごがーるさんに急遽同行させてもらえることになって。
なんか洋楽サークルとしてのmeantimeネットワークの凄さを実感した一日だったわ。
ミーンタイマーの皆さんありがとうございました。


で、映画。
今まで何度か言及してますが、
僕はGuettaの作るトラックは結構好きなのも多かったりするものの
彼の存在自体はちょっと疎ましく思ってたアンチ気味の人間だったので(理由は後述)、
あのサウンドが映画館でどう鳴るのか聴いてみたいね!と
twitterで盛り上がったままのノリで行ってきたんだけど、
まじめに内容そのものがむちゃくちゃ面白かった。
ダンスミュージックを好きな人間なら、絶対に色々と思うことがあるはずだ。

以下、覚えてる限りで印象に残ったところを列挙していく。
これ一夜限りのイベント上映なんでなかなか共有しにくい話題なんだけど
書きたくてたまらないので書く。
例によって異常に長いので興味ある人だけ読んで。
これはホントに興味ない人にとってはつまらん(というか意味不明)だと思うので。
僕に付き合わされて同行させられた人に聞けばそのつまらなさが分かるはずだ!




・まずちょっと意外だったのが、Guettaのサクセスストーリー、
という以上に、ダンスカルチャーの巨大化という部分に主軸が置かれていた点。
正直Guetta個人の話ばかりならそれほど興味なかったんだけど、
彼の成功を通してハウス/エレクトロがメインストリーム音楽として
世に広まったことがどんなに素晴らしいことか、Guetta本人も含めた
大物DJたちの証言で炙り出していくというスタンスだったため、
ダンスミュージック好きとしてものすごく胸熱だった。泣ける。

そういう構成の映画だったために、ハウスの歴史とか
ある程度の背景知識がないと今ひとつピンとこない話も多かったので
("Disco Sucks" Movement=ディスコ大流行の反動期だった80年代初頭に、
ディスコレコードをスタジアムで大量に燃やした事件、にまで言及があって驚いた)
単にGuetta好きのミーハーにはちょっとつまらないところがあったかも。
いたのよ、Guetta映る度に「マジかっこいい・・・」とかつぶやいてた女子が。
・・・うーん。ああ、まあ時々映る若いころのGuettaは確かに結構イケメンだったか。



・そんなわけでGuetta本人から出てくるコメントも、
自分自身が成功したからというよりも、いちDJがポップスターになれたことが嬉しい、
なんてシーン全体を俯瞰したうえでの喜びを言い表したものが多かった。
(AfrojackやAviciiら特に後進のDJたちからもこのテの発言が出ていた)

じゃあそんな彼の成功譚のパーソナルな部分にスポットは当たらなかったかというと、
そこを担っていたのが嫁のCassie Guetta。
つか嫁いたんか!妊娠してた時もチラシ配って〜とか言ってたから子どももいるかも。

この人英語がはっきりいってかなりヘタだったんだけど、
名物パーティーFuck Me I'm Famousの立ち上げたときのこととか、
昔は苦労したけどずっと二人三脚でやってきた、って話を
その片言の英語で天真爛漫に語る姿がもうものすごく魅力的で
僕は一発でこの人を好きになったんだけど、
そんな苦労話をも楽しい思い出としてハイテンションで喋り続けていた彼女が
インタビューの最後の最後、「ホント、こんな風に成功する日が来るなんてミラクル・・・」
って言った瞬間、急に感極まって泣き出すシーンはすごく感動的だった。
ダンスミュージックがより好きな人ほど、
まさかこのタイプの音楽がこんなに売れるようになるとは夢にも思わなかったはずだから。
お互い関心のベクトルが違うが故のベストパートナーだという
この二人の対比は面白かった。これは演出も狙って構成してるかも。



・あとGuettaの初期のキャリアも結構意外だったな。
この人、DJとしては80年代から活動してるんですが、
当時はシカゴやニューヨークのハウスシーンを掘り下げつつパリのゲイクラブで回してたそうで、
それ結構生粋のオールドスクールハウサーですやん。
今の女好き風チャラクトロハウスな芸風からはちょっと想像付きにくかったので驚いた。
The Black Eyed Peasの「Rock Your Body」(Guetta共作)がヒットした時、
Guettaにこんなトラック作るバックグラウンドねーだろとか言ってたすいませんすいません。

初めてイビサに行ったのは仕事じゃなく客としてで、
David MoralesがJamiroquaiのリミックス掛けてた、
サイコーだった(←このリミックスならそりゃね!!)、とか言ってたのもよかったなあ。
何よりそのMoralesが、この映画でGuetta絶賛してるのは
本人的にもそりゃあ嬉しかったことだろう。
(こういう構図はSean Paulブレイク時を思い出すな。
ベテランレゲエアーティストがめっちゃ褒めたり感謝したりで)

しかしこのシーンは是非このリミックスを掛けてほしかったな。
あくまでGuettaが主役の映画なんだからしょうがないんだけど、
せっかくこうやって劇中で言及があっても
本人以外のトラックはほとんどかからなかったんだよねえ。
その本人作品も、前作より後のばかりで。
Chris Willisが「転機になったのはLove Don't Let Me Go」って
Guettaの中では異色のソウルフルな曲を挙げてたのが嬉しかったし
(この曲は当時好きでずーっとCDS探してたので、見つからなかったけど)
その上で、数年後The Eggとのマッシュアップがヒットしたことにも
ちゃんと言及してた。けど実際に曲が劇中でかかることはなし…



・他の有名人コメントで特に気になったのは、
上のトレイラーでも出てくる2 Many DJ'sとFatboy Slim。
まずそもそも、え?接点あるの?って感じだったし。

2 Manyは本当に何繋がりなのかよくわからなかったんだけど、
この人たちの面白かったのは、接点なさそうな割にかなりコメントが長かったのと、
あともう一点は、結構斜に構えたコメントだったこと。
他の出演者は一様に「Guetta凄い」的なことばかり言う(当然)なかで、
「彼は○○だけど自分たちにはとてもできない」みたいな、
否定とも肯定ともとれる言い回しが2回も出てきたのが面白かった。
同じくらい「何でこの人が?」感あったJosh Winkとかも普通に褒めてたんだが。



・Fatboy Slimは、やっぱどこに接点が?と思ってたら直後劇中で
「イチバンやばかった共演は正月にブライトンのビーチで・・・」とネタばらし。
てか、え?それBig Beach Boutiqueじゃないよね??とそれはそれで意外だったが。

この人の発言では、「フランス人のくせにあいつ凄いよな」。
隣のびんごさんと思わず目を合わせて笑ってしまった。
さすがイギリス人・・・どーしてもフランス人にはヒトコト言いたいのね。

ただこの発言、深読みすれば結構重たい意味があるかもしれない。
一つには、これはGuetta本人の口からも出ているけど、
ダンスカルチャーの中心地がイギリスなのは周知の通り。
誰もいちDJがアメリカでこんなポップスターになれるなんて思ってなかったけど、
でもなるとしたらそりゃイギリスのビッグDJの誰かだよね?というのは
業界の暗黙のコンセンサスだったと思うので、
そのイギリスでもっとも成功したダンスアクトであるNormanだからこそ
口にできるセリフとは言えるかもしれない。

さらに深く読むなら、Guettaのキャリアの長さと、フランス人であること、
あとNormanがGuettaと大体同世代のベテランであるという点。
エレクトロの一大産地となった今のフランスしか知らないと驚くべきことだけど、
Daft Punk以前のフランスにはクラブシーンなどというものは
あってないようなものだったというのは有名な話。
彼らのデビュー時にイギリスのプレスが
「20年ぶりにパリのユースカルチャーが復活した」とか書いたと言うから、
つまりさかのぼることCerroneとかのディスコ時代を最後に
フランスではロクなダンスカルチャーが育っていなかったということ。
そんな時代に「ボクはDJになるから算数なんて出来なくていい!」と
学校の先生にDJとはどういう仕事なのかと三者面談で語ったというDavid少年の
キャリア初期がいかに茨の道だったかは想像に難くないわけで。
Daft以前のフランスがそういう状況だったことを
Normanも同時代を生きたDJとして知っていたからこそ出た言葉なのかもとも。



・一方でFlo RidaやLudacris、Kelly Rowlandらアーバン系の人たちの証言は
どれも「ダンスとヒップホップを繋げた」的な浅いコメント(笑)が多くていまいち印象に残らず。
ただしこっち側の最重要人物、will.i.amだけは
やっぱダンスカルチャーの理解度という意味では他の人とはちょっと違ったな。
アーバン系人脈で一番面白い発言を聞かせてくれたのはTaio Cruzで、
他の人が”Guettaがアーバンミュージックとの架け橋を作った最新ダンスミュージック”
という意味でハウスやエレクトロといったジャンル名を挙げる中、
彼は「ハウスやエレクトロ、ファンキーとか・・・」みたいな感じで唯一ファンキーに言及。
この言葉には、この人もあんなチャラクトロい曲ばっかりやってても
やっぱりどっかにUKアーバン/ガラージ魂持ってんだな、流石とか思った。



・しかしこれだけ色んな人からコメント集めてきたのに、
フランス人同業者で出演したのはMartin SolveigとLaurant Garnierだけ!
(他にいたかなあ…知らない人ならいたかもしれない)
まあダフパンはこういう映画でコメントなんかしないだろうし、
JusticeはきっとGuettaなんて大嫌いだろう(←勝手に想像・笑)からいいんだけど、
Bob SinclarやDimitri From Parisあたりなら出てくるかと思った。
これこそが、僕がGuettaを疎ましく思う最大の理由、
もっと言うと「フレンチエレクトロの代表格」として彼が扱われることを疎ましく思う理由。
すなわち、この人いわゆるフレンチエレクトロのシーンから全く孤立してます。
ずっとそう思い続けてきたけど、この出演者の件でまた確信した。

これは僕が割と「フレンチと言えば何よりDaft Punk」論者で、
あと実際有名どころのフレンチ系アクトって大体ダフパンと繋がるので、
そうじゃないやつは亜流!異端!とか思ってるからなのだが。
ただ逆に言えば、2000年の前後数年間のフレンチタッチ〜フィルターハウスに
端を発する流れとは全く違うところに居続けてきたGuettaが、
誰のフックアップもなくここまでのし上がったという点は称賛されるべきではある。
せめて信者はそういう褒め方してあげればいいと思うんだけど、聞いたことないな。




まあこんなところですかね。
映画自体は一時間強で大した長さじゃなかったんだけど、
あまりの情報量・見どころの多さにいちいちリアクションしっぱなしだった。
これ、流石に映画館で普通に公開しろとは言わないけど、
DVD付きのアルバム新装盤とかの形で世に出ないですかねえ。
この映画の後、ずーっと買おう買おうと思いつつスルーしかけてたアルバムを
タワーで即買いしましたが、DVD付くなら光の速さで買いなおすよ。
それぐらい気に入った。
Guetta好きじゃなくても一ダンスミュージック好きとして大変楽しい映画でした。
・・・まあ、少しは好きになってあげてもいいけどね!(ツンデレ)
posted by Skedge at 00:00| Comment(4) | 音楽ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いやいやいやいや、そんな文脈でうちへのリンク貼らないでよ!つまらなかったとは言ってないし!まぁ、別世界の出来事を見ているような感覚はあったけども、これはこれで作品として興味深いと思ったよ。本当。流行の音を作ってる人のドキュメンタリーということで、流行音楽へのリハビリって感じだったかな。
Posted by ちっぺえ at 2011年12月17日 01:06
>ちっぺーさん

いやあなんか思いっきり自分だけ楽しみまくってたので、巻き込んだ自分としては退屈してやしないかとちょっと心配だったのです。別に入らない前口上もあったしね…。楽しめたようなら何よりです、ってまるで俺がチケットあてたみたいな言い草だな。
Posted by Skedge at 2011年12月17日 13:20
んじゃ「楽しめたようなら何よりです」と当てた本人が言ってみよっと。これだけがっつりレビュー書いてくれるなんて誘った(中村はその巡り巡ったという「meantimeネットワークの凄さ」をあまり把握しきれてないんだけど)かいがあるわね。ちっぺえ氏も大変な一日をリハビリ?で締めれたということで。どちらかというとアーバン系にひいき目な中村的にはSnoopやUsherの絶賛コメントが「米国制覇」的な意味合いで心に響いたわね。Flavor Flavとつるんでるとことか心臓の鼓動早くなったし。あとKellyの「ホントに空飛んだかと思った」のコメントが似非クラバーの中村にもそれがダンスミュージックなのよねぇと何だかきゅんときた。そしてショウビズゴシップに目配りを欠かさない身としてもGuettaによって二分したかのような音楽界人脈の把握にとても役立ちました…。ダンスミュージックの未来に幸あれ。
Posted by 中村びんご at 2011年12月19日 00:39
>中村さん

いや本当にめちゃくちゃ楽しかったです。確かに現行のUSヒットを追いかけつつダンスミュージックも横目で追いかけてきた方(これ僕のちょうど真逆ですね)にとっては、SnoopやLudacrisあたりのコメントの方が感慨深いものがあったかもしれませんね。彼らがダンスDJと対等な立場でコメントを交わすなんてほんの少し前までちょっと考えられなかったですし。あとKellyについては、「When Love Takes Over」は彼女の歌い方をブチ壊しにした駄曲として目の敵にしてるのですが(笑)、あれによって彼女のキャリアが今いいところにつけてるのは確かに間違いないですね。Beyonceとの比較をしてた中村さんの言葉にすごく納得がいきました。

しかしDavid Morales & The Yard Bird Clubを好きで聞いてたとなると僕よりダンス偏差値高いのでは!(笑) やっぱりこういうのは何をおいてもリアルタイマーには敵いません。今意識的に現行の音楽優先で聞いてるのも、こういう後悔を未来にしたくないからなんですよねえ。
Posted by Skedge at 2011年12月20日 01:50
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